歌詞集 「チルハナウタ -散花歌-」

防人の地の果てに

それぞれの君を想ひ 円陣を組む

君の肩に、君の胸に

黙って付けた印が消えぬように

 

その手に槍を持て

その胸に花を抱け

遠くに聴こえる波の音が

餞(はなむけ)の歌を唄う

サイノ サイノ サイノサイ、サイノ サイノ サイノサイ…

 

待ちわびて手紙書いた

白い便せん、ぽつぽつと染みが浮かぶ

君置いて来た運命(さだめ)の

理不尽さえも、君のためと知る

 

この淡き夢よ叶え

君へと鳥を放て

遙かな風の行く先に

幾ひらの花びら散らそう

サイノ サイノ サイノサイ、サイノ サイノ サイノサイ…

 

2009年「KENO KENO KENO」より「チルハナウタ -散花歌-」 作詞/作曲・大渕博光

 

今日は8月10日。毎年今頃になるとテレビやなにかでは免罪符のように終戦特集が組まれるが、最近は減った気もするね。
僕の亡くなった父親は、大正15年生まれで、終戦の歳に成人を迎えた。
1月が誕生日の父はハタチになると、敗戦も決定的となった夏に宮崎県の沿岸部へ徴兵されたという。
毎日のようにやってくるアメリカ軍のグラマン機を迎撃するためだったというが、軽機関銃くらいしか無い武装では、ただ、やられないようにやり過ごすのが精一杯だったようだ。
幸か不幸か、まもなく敗戦となり本土配属だったこともあり、すぐに引き上げとなったわけで、
そうで無ければ僕は生れていなかったかもしれない。

九州はその宮崎を含め、何カ所かの特攻隊の出撃地があった。
攻撃そのものは全く受け入れられることでは無いし、それを強制した当時の国や軍部は狂気に覆われていたとしか思えない。
だけど、敵の艦に突っ込んで行くときの彼らの気持ちは救いあげてあげたい。卑下や否定はしたくない。
突撃の瞬間、彼らが守ろうと思ったのは国や軍のことではなくて、親や兄弟や最愛の人への想いだけだったんじゃないかと思う。
それはむりやりむごい状況に置かれたんだとしても、守ろうとして叫んだ愛情は真実だと思いたい。

そしていま、僕らがここにこうしていられることに感謝しよう。そう思って書いたこの曲。

だが、残念なことに僕が生れてこのかた、最近のこのキナ臭さは経験したことがなかったレベルだ。特攻隊の彼らが、僕らで最後にしてくれと望んだ未来とは違う方向へ行こうとしている。
どうなっていくのか。

歌詞集 「チルハナウタ -散花歌-」」への2件のフィードバック

  1. とても好きな曲です。
    毎回、祖父母の当時の気持ちに重ね、胸が苦しくなります。

    平和な世の中が当たり前だと思っていたけど、昨今の地震や天災などで、その考えは甘いと思い知らされました。

    この先何が起こるか分からないけど、今はただ好きな声に包まれて暮らしていけたら幸せだと思います(^^)
    大渕さんにはずっと歌っていて欲しいです!

    またライブでお会い出来る日を楽しみにしています(*^^*)

  2. いい曲ですね。

    3年前に主人を亡くした時に
    この曲と出逢いました。
    「君 置いて来た定めの」の歌詞が
    急死した主人からのメッセージに思えて
    逢いたくなったり、寂しくなると聞いています。
    包容力がある歌詞が大好きで
    素朴な感じの
    大渕さんの声と重なって心に優しく響いています。

    ありがとうございます。

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